分野別解説とアドバイス
※右側のサイドメニューから検査の種類を選択できます
※検査ごとの説明は一例です。必要に応じて適切な医療機関を受診してください。
血液一般検査
貧血などの血液疾患や感染、炎症、ストレス、腫瘍などを調べます
貧血とは全身への酸素の運搬役である赤血球や血色素(ヘモグロビン)の量が減少し、酸欠状態になることです。
酸欠の起こる場所によって立ち眩み、めまい、疲れやすくなったりします。
貧血は徐々に進行していくので、体内の鉄の貯蔵量がかなり減った状態でもその症状に気づかずに過ごしてしまうこともあります。
白血球はいくつかの種類に分かれ(白血球分類)、働きも異なります。その種類別の比率を調べることにより、病気の診断を行います。
予防に関するアドバイス
- 白血球の増減は白血病など深刻な病気の場合にみられることもありますが原因としては稀です。病気ほとんどは、細菌やウイルスへの感染や生理的ストレスです。規則正しい生活を心がけ、原因となる感染症がある場合には治療を行いましょう。
- 貧血のなかで最も頻度が高いのが鉄欠乏性貧血です。ダイエットや偏食などによる鉄分の不足が原因で起こります。鉄分を多く含む食材だけでなく偏りのないバランスの良い食事をとって、適度な運動を心がけ、貧血を予防しましょう。
- 血小板は血液を凝固する働きがあります。異常を指摘された人で、ぶつけた覚えがないのに内出血ができる、歯茎の出血、鼻血が出やすいなどの症状もある場合は一度、精密検査を受けた方が良いでしょう。
肝機能検査
肝機能に異常がないかを調べます
肝機能異常の原因でアルコールはよく知られていますが、脂肪肝による肝機能障害を起こす人が増加しています。
沈黙の臓器と呼ばれている肝臓は深刻な状況になるまで自覚症状はほとんどなく、健康診断などで偶然発見されることも少なくありません。
また、肝炎を合併しやすいという特徴もあり、肝硬変に進行しやすくなります。
動脈硬化や高血圧も合併しやすく、心臓病・脳卒中のリスクも高い場合が多いので注意が必要です。
予防に関するアドバイス
- 脂肪肝は原因を取り除けばほとんどが解消します。太りすぎないようにエネルギー制限(低脂肪、良質なたんぱく質メニューを心がける)、食事の工夫(食事は一定の時間にとる、時間をかけてゆっくり食べる、食物繊維の多い食品をとる)、運動(摂取したエネルギーの消費に努める)、アルコールを飲みすぎない、ストレス発散などを行いましょう。日ごろから肝臓をいたわり予防を心がけることが大切です。
- 近年アルコールをほとんど飲んだことがない人にも脂肪肝が発生し、アルコール性肝障害に類似した所見を示すことが明らかになり、これを非アルコール性脂肪肝(NASH)と呼んでいます。過食や肥満、運動不足などにより脂肪肝へと進行することが大きな原因で、これらを改善するための努力が大切です。適度な運動と暴飲暴食・夜食は控えましょう。
膵機能検査
膵機能に異常がないかを調べています
アミラーゼは膵臓に障害が起こった時に異常を示しますが、唾液腺の炎症や肥満、薬剤、飲酒などによっても変動があるので、異常が出た場合は、時間を追って検査した方がいいでしょう。
予防に関するアドバイス
- アルコールや暴食などが膵臓に負担をかけやすいので、生活習慣の改善を心がけましょう。
肝炎検査
肝がんに進行しやすいB型とC型肝炎ウイルスについて調べています
肝炎には急性肝炎(肝細胞に急性の炎症が起こる肝炎)と慢性肝炎(肝細胞に6ヶ月以上持続する慢性の炎症が起こる肝炎)があります。
慢性肝炎は放置すると高頻度に肝硬変、肝がんへと進行する場合があります。
予防に関するアドバイス
- 肝機能障害の予防と同様で、太りすぎないようにエネルギー制限(低脂肪、良質なたんぱく質メニューを心がける)、食事の工夫(食事は一定の時間にとる、時間をかけてゆっくり食べる、食物繊維の多い食品をとる)、運動(摂取したエネルギーの消費に努める)、アルコールを飲みすぎない、ストレス発散などを行いましょう。日ごろから肝臓をいたわり予防を心がけることが大切です。
心臓検査
心臓機能に異常がないかを調べています
心臓のポンプ機能が低下して、十分に働かなくなることを心不全といいます。
血液検査では心臓に負荷がかかると合成、分泌されるBNPや筋肉に多く含まれるCKという物質を測定します。
しかし、血液検査だけで心臓の機能がすべてわかるわけではないので、他の検査(心電図など)と組み合わせて見ることが大切です。
CKの多くは骨格筋に含まれており、心臓や脳にもわずかに存在します。
ハードな運動や筋肉注射などを行ったあと測定すると高値になる場合があるので注意が必要です。
予防に関するアドバイス
- 適度な運動(動悸・息切れが起きない程度の軽い運動)や塩分を取りすぎない、過度の飲酒や禁煙を心がけましょう。また、睡眠は十分にとるようにし、ストレスや過労など心不全の危険因子となる要因を少なくすることが大切です。
脂質検査
脂質異常がないかを調べています
脂質異常症自体には何の自覚症状もなく、放置すると血管壁に脂肪が付着し血管内を狭く、弱くして動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす非常に危険な病気です。
LH比(LDLコレステロール÷HDLコレステロール)は動脈硬化の指標として重視されています。
2.0以上で動脈硬化を起こしやすく、2.5以上で心筋梗塞などのリスクが高まります。
HDLコレステロールやLDLコレステロールが基準値内でも、LH比が高い方は動脈硬化が進んでいる可能性があるので注意が必要です。
予防に関するアドバイス
- 脂質異常がみられたら、食生活の改善と生活習慣の改善が必要です。
- 食生活の改善として、食物繊維の多い食べ物や動脈硬化を防ぐ青魚、植物油などがおすすめです。暴飲暴食、間食を避け規則正しい食事をとるよう心がけましょう。
- 適度な運動やストレス発散、禁煙を心がけましょう。
糖尿病検査
糖尿病かを調べています
糖尿病とは、体内の糖分が多くなり高血糖状態が続くことを言います。
食事などで糖分が体内に吸収され、血糖値が上昇します。
このとき、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げます。
インスリンが分泌されない、又は分泌されてもその働きが十分でないと、血糖値が上昇したままとなり、血管や神経に悪い影響を及ぼします。
長期間にわたって血糖値が高いと、HbA1cは高値になります。
血糖検査だけではわからない過去1~2ヶ月の平均的な血糖コントロール状態を調べることができるため、糖尿病の診断に有用です。
予防に関するアドバイス
- 初期は自覚症状がないものの、放置しておくと様々な合併症につながるため、早めの対応が必要です。
- 栄養バランスを考えた食事、砂糖含有量の多い食品や飲料を控える、適度な運動を継続する、ストレスをためない、アルコールを少量にとどめる、禁煙などの生活習慣の改善を行いましょう。
痛風検査
高尿酸血症かを調べています
高尿酸血症とは、血液中に尿酸が多くなった状態をいい、尿酸塩が関節などにたまると激しい痛みを伴う炎症発作(痛風)を起こすことがあります。
尿酸が増加する原因は、尿酸の素であるプリン体が増えたり、尿酸の排泄が減ったりすることによります。
予防に関するアドバイス
- 高尿酸血症の人は肥満者が多く、第一に摂取エネルギーの制限が必要です。肥満の解消、バランスの良い食事をとり、飲酒を控え、水分を十分とりましょう。食品中のプリン体を減らすことや、料理方法によってプリン体を体に取り込まないような工夫が必要です。そして、アルコールの飲みすぎは高カロリーとなり、エネルギー過剰につながることはもちろんですが、アルコールは血中の尿酸値を上昇させるので注意が必要です。
腫瘍マーカー
体内に腫瘍がないかを調べています
体内にがんが発生した場合、健康な時には発生しない特殊なタンパク質やホルモンなどが血液中や尿中に増えることがあります。
がんの経過や再発の確認などに有用です。
陽性となった場合は一度、精密検査を受けた方が良いでしょう。
しかし、これらの腫瘍マーカーが陰性であってもがんを否定することにはならないので注意が必要です。
前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAは、初期の段階で陽性になることが多いため早期発見に役立ちます。
便潜血
消化管からの出血を調べています
出血の原因は、大腸内のポリープや大腸がん、痔などです。
陽性の場合は何らかの原因が考えられます。
特にポリープから大腸がんになるので、放置せずに精密検査を受けた方が良いでしょう。
炎症
炎症反応がないかを調べています
CRPは病気を特定することはできませんが、細菌・ウイルス感染、体の組織に障害が起こったときに増加し、炎症の有無や経過を調べます。
RFは主に関節リウマチを診断する検査です。
炎症反応が基準値を外れている場合、精密検査を受け、何か気になる痛みや腫れている部位があれば申し出ましょう。
炎症部位など原因が特定できている場合には、その治療を行いましょう。
甲状腺
甲状腺機能に異常がないかを調べています
甲状腺ホルモン(FT4)は甲状腺から分泌されるホルモンで、エネルギー代謝の調節や細胞の新陳代謝を活発にする働きがあり、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)の作用によって、その分泌が促進されます。
不足したり過剰になったりすると、さまざまな障害が起こります。
異常値があれば、精密検査を受けましょう。
梅毒
梅毒感染がないかを調べています
梅毒は、症状が軽くなったり消えたりする時期があるため、発症したことに気づきにくく、治療の遅れにつながる危険があります。
腎・尿路系
腎臓の機能に異常がないかを調べています
腎臓の主な機能は血液の濾過、老廃物を尿として排泄することです。
腎臓病はかなり進行しないと自覚症状が現れないのが特徴で、放置しておくと末期の腎不全となり人工透析が必要になる病気です。
腎臓は一度悪くなってしまうと、もとに戻すことができないので注意が必要です。
尿素窒素やクレアチニンは老廃物の一種で、腎機能が低下すると血中に多くなります。
また、e-GFRは腎臓が老廃物を排泄する能力で慢性腎臓病(CKD)の診断などに用いられます。
蛋白は通常、尿中にはほとんど含まれませんが、腎臓や尿管に障害があると尿中に排泄されます。
尿沈渣では尿の成分を調べ、どの成分が多いかで腎臓や膀胱などに障害があるかを調べます。
予防に関するアドバイス
- 疲労は腎臓に負担をかけるため、規則正しい生活や睡眠をきちんととりましょう。
- 水分を多くとる意識をしましょう。
- 高血圧や糖尿病は腎臓に悪い影響を与えます。これらの病気にならないように栄養バランスを考えた食事をしましょう。
- 高血圧・糖尿病と診断されている方は、定期的に検査を受けましょう。