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健診ブログ > 健診ブログ第2回 「脂質異常症について」

目次

脂質異常症とは

「脂質異常症」という診断名が使用される以前は「高脂血症」という診断名が使われていましたが、文字通り脂質値が高くなる場合のみならず、低くなる場合も含めて脂質異常症という診断名も使われるようになりました。高コレステロール血症や高中性脂肪血症といった、脂質値が高くなる病態に対しては、高脂血症という診断名を使用することも間違えではありません。
血液中にコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸などの脂質が存在しています。いずれの脂質も身体にとっては必要な物質で、コレステロールは細胞膜やステロイドホルモン、胆汁酸の母体となり、また中性脂肪は身体の中に蓄えられ、エネルギー源として重要な働きをしています。
脂質異常症は、放置すると血管壁に脂肪が付着し血管内を狭くしたり弱くして、動脈硬化を進行させ、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症、無症候性心筋虚血などの心臓病)、脳血栓、脳梗塞などを引き起こしますので非常に危険な病気です。脂質異常症は自覚症状がないため放置されがちで、皆様が今回受診されました定期健康診断で発見されることが多い病気です。特にこの病気は肉食など脂肪摂取量の多い欧米で多発していましたが、日本でも若年層を中心に食事の欧米化が進んだことと、生活環境の変化による運動不足やストレスなどにより増加してきています。

コレステロールと中性脂肪の検査の見方は?

例えば、検診で総コレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪を測定したとします。
この3項目からLDLコレステロール計算値と動脈硬化指数を計算することができます。

LDLコレステロール計算値 = 総コレステロール − HDLコレステロール −(中性脂肪 ÷ 5)

注意:中性脂肪が200mg/dlを超えるあたりからだんだんと誤差が大きくなり、400mg/dlを超えると正しい値が得られません。

L/H比 = LDLコレステロール ÷ HDLコレステロール

例:総コレステロール 250mg/dl HDLコレステロール 50mg/dl 中性脂肪 150mg/dl の場合
  LDLコレステロール = 250 − 50 −(150 ÷ 5)= 170mg/dl
  L/H比 = 170 ÷ 50 = 3.4

計算ができましたら、それぞれの検査項目について説明します。

1.総コレステロール

総コレステロールとはLDLコレステロールやHDLコレステロールを含めたコレステロールの総量です。
総コレステロールが220mg/dl以上を異常と判定します。ただし、コレステロールは細胞膜の構成など身体にとって重要な働きをしており、少なすぎてもいけません。

2.HDLコレステロール

HDLコレステロールは血管壁に付着したコレステロールを肝臓に持ち帰り動脈硬化を防ぐ働きがあります。
善玉コレステロールと呼ばれ、40mg/dl未満になると動脈硬化の危険性が増加します。
喫煙、運動不足、肥満などが原因で低下することがあります。

3.中性脂肪

中性脂肪はコレステロールほどではありませんが、動脈硬化の危険因子として重要です。
また、中性脂肪はエネルギー源として身体に蓄えられますが、その貯蔵は無制限であるため肥満の原因にもなっています。
検査前に食事をすると、中性脂肪の数値が高くなるので注意が必要です。
一般に早朝空腹時に採血しますが、10時間以上の空腹のあと採血するのが良いと言われています。
若い女性ではよく49以下の数値となりますが、低い数値はほとんど問題ありませんが、あまり低いと他の病気も考えられますので、一度かかりつけ医に相談してください。

4.LDLコレステロール

LDLコレステロールは血管壁に脂肪を付着させ、動脈硬化の進行、冠動脈疾患や脳梗塞などの原因となります。
悪玉コレステロールと呼ばれており、140mg/dl以上になると動脈硬化が進行すると言われています。

5.L/H比

L/H比は動脈硬化の指標として重視されています。2.0以上で動脈硬化を起こしやすく、2.5以上で心筋梗塞などのリスクが高まります。HDLコレステロールやLDLコレステロールが基準値内でもL/H比が高い方は動脈硬化が進んでいる可能性があるので注意が必要です。

異常がみられたら

おそらく多くの方が異常と判定されているかと思います。
血液中の脂質は30才を超えた頃から上昇し、女性では閉経後更に上昇します。
従いまして異常がみられても、あまり心配せずかかりつけ医に相談してください。
当センターの報告書は3年間の検診データを掲載していますので、自分の検査値すなわち身体の変化を知ることができます。
今回は正常でも年々上昇していれば危険信号です。
また、脂質異常症など多くの病気は遺伝が関与していますので、家族に心筋梗塞など動脈硬化が原因の疾患にかかった人がいれば、特に注意してください。
それでは脂質検査で異常がみられたらどうしたら良いのでしょうか?
まず「食生活の改善」と「生活習慣の改善」です。
しかし、すでに動脈硬化が進行し心臓に負担がかかっている人は、急激な運動により心筋梗塞などを引き起こしますので、脂質を下げる薬が投与されます。

1.食生活の改善

もちろん食べ過ぎはよくありませんので腹8分目にして、間食を避け規則正しい食事をとってください。

「脂肪分の多い食べ物」
卵、生クリーム、肉類、チーズ、バターなど動物性脂肪の多い食べ物は要注意です。

「おすすめの食べ物」
腸管でコレステロールの吸収を抑える食物繊維(野菜、きのこ、豆類)、動脈硬化を防ぐ青背の魚(さば、さんま、いわし)がおすすめ。
料理に使う油は植物油にしましょう。特にオリーブ油、ベニバナ油、コーン油などに含まれるリノール酸は血液中のコレステロールを抑えます。
バターはマーガリンに変えましょう。
適度のお酒は善玉コレステロールを増やすという報告がありますが、飲み過ぎると肝臓での中性脂肪の合成を増加させますので、ほどほどにしてください。

2.生活習慣の改善

適度な運動は善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らします。
また、ストレスが加わるとホルモンが分泌され血液中の脂質が増えますので、運動などの趣味を充実させて気分転換を図るのが良いでしょう。
また、車やエレベータなどに頼りすぎますが、できるだけ歩くように心がけましょう。
喫煙は動脈硬化で弱った血管を収縮させるばかりではなく、善玉コレステロールを低下させますので、できれば禁煙するよう努力してください。